「電気代が上がっているのに、なかなか対策が見つからない」
「節電してもコストが思うように下がらない」
そんなお悩みを抱えている企業は多いのではないでしょうか。
燃料価格の高騰や円安の影響、そして再エネ賦課金の増加などにより、企業の電力コストはここ数年で大きく上昇しています。
特に工場や店舗などでは、毎月の電気代が経営を圧迫するケースも少なくありません。
いま求められているのは、ただ節電することではなく、“上手に使う”工夫です。
そこで注目されているのが、蓄電池を活用した「電力の最適化」という新しい考え方です。
電力コスト対策の必要性

電気料金の上昇が企業経営に与える影響
ここ数年、燃料価格の高騰や再エネ賦課金の増加により、法人の電気料金は上昇傾向にあります。製造業や商業施設などでは年間数百万円規模のコスト増も珍しくありません。特に以下のような要因が大きく影響しています。
- 電気料金が上昇している理由
- ●LNG・石炭など燃料価格の高騰
- ●再エネ賦課金(再生可能エネルギー促進のための国民負担)の増加
- ●円安による輸入コストの上昇
- ●補助金・支援策の終了または縮小
電力コストの最適化は、今や経営戦略の一部として欠かせないテーマです。
今こそ求められる「電力最適化」
コスト対策として重要なのは単なる節電ではなく、「使う時間・量・契約」を最適化することです。
- ●使う時間
ピーク時間帯の使用を抑え、電力単価の低い時間帯にシフトする。-
●使う量
- 無駄な待機電力や同時稼働を減らし、総使用量を抑える。
- ●契約(電力プラン・契約電力の見直し)
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ピーク電力を抑えることで基本料金を低減し、自社に合った契約プランへ変更する。
- これらを組み合わせることで、電力コストを「削減」ではなく「最適化」することができます。
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電力コストを正しく理解する

基本料金・従量料金・デマンド料金とは
企業の電気料金は、使用量に応じた「従量料金」と、最大需要電力(デマンド値)に基づく「基本料金」で構成されています。
つまり、短時間でも電力使用がピークに達すれば、年間を通じて高い基本料金を支払うことになります。
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●基本料金
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契約電力(最大需要電力=デマンド値)に応じて毎月固定で支払う料金。
ピーク電力が上がると基本料金も上昇する。 -
●従量料金
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実際に使用した電力量(kWh)に応じて支払う部分。
使用量が多いほど単価が高くなる「段階制」を採用するケースもある。 -
●デマンド料金(最大需要電力料金)
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一定期間内(通常30分)の最大使用電力を基準に算出される。
1年を通じてこのピーク値が契約電力として固定され、翌年の基本料金に影響する。
ピーク電力がコストに及ぼす影響
生産設備や空調が同時に稼働する時間帯は電力需要が集中しがちです。
ピーク電力を下げる「ピークカット」ができれば、基本料金を引き下げられ、結果として年間コスト削減につながります。
蓄電池で実現する電力最適化

ピークカット・ピークシフトの仕組み

昼間の生産や空調、照明などが重なる時間帯は、電力使用量が一気に増えやすく、最大需要電力(デマンド値)が上昇します。
法人向け蓄電池を活用すれば、この高負荷の時間帯に蓄電池から電力を放出し、ピークを抑制(ピークカット)することができます。
最大需要電力が下がることで契約電力が低減し、結果として基本料金の削減につながります。
特に工場や大型商業施設では、年間で数十万円から数百万円規模のコスト削減効果が期待できます。
一方で、「ピークシフト」は電気代の単価を最適化する手法です。
夜間など電力単価が安い時間帯に蓄電池へ充電し、昼間の高単価時間帯に放電して使用します。
つまり「安く買って高い時間に使う」運用で、電気料金全体の最適化が可能になります。
さらに昼間のピークカットと組み合わせることで、コスト削減と省エネ効果をより安定的に実現できます。
太陽光との併用による効果

法人向け蓄電池は、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備と組み合わせることで、より効率的な省エネ運用が可能になります。
夜間など電気料金の安い時間帯に蓄電池へ充電し、昼間の高い時間帯に放電して使うことで、電気代をスマートに抑えられます。
近年は売電単価が下がっており、発電した電気を「売る」よりも「自家消費」する方が経済的です。
太陽光で発電した電力を優先的に使うことで、電力会社からの購入量を減らし、安定したコスト削減につなげることができます。
さらに、蓄電池と太陽光発電を組み合わせれば、自家発電・自家消費によるエネルギーの自立運用が実現します。
電力価格の変動に左右されにくくなるうえ、ピークカットやピークシフトを組み合わせることで、電力量料金と基本料金の両方をバランスよく削減できます。
導入コストと費用対効果

初期費用・維持費・寿命の目安
法人向け蓄電池の導入費用は、容量や機能によって幅がありますが、一般的には数百万円〜数千万円規模になります。
耐用年数はおおむね10〜15年程度で、正しい運用とメンテナンスにより長く使い続けることができます。
主なコスト構成は次のとおりです。
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初期費用:本体価格・設置工事費・制御システム費など
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維持費:定期点検や保守契約などのランニングコスト
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交換費用:寿命後のバッテリー交換費用
これらをトータルで見れば、10年以上のスパンで十分に投資回収が可能です。
回収期間と効果をどう見極めるか
導入効果を判断する際は、以下の3つの指標を意識しましょう。
①年間電気代削減額
ピークカットやピークシフトにより、年間でどれだけコストを削減できるか。
②回収期間
初期投資額を削減効果で取り戻すまでの年数。
例:年間100万円の削減なら、5年で投資回収可能。
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③内部収益率(IRR)
投資に対する収益性を示す指標。数値が高いほど投資効果が大きい。 - 蓄電池は単なるコストではなく、削減効果を生み出す資産として考えることが大切です。
補助金・税制優遇の活用方法
導入コストを抑えるには、補助金や税制制度の活用が効果的です。
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●国・自治体の補助金制度
導入費用の30〜50%を補助してもらえるケースもあります。 -
例:「環境省の省エネ補助金」「経産省の地域脱炭素支援事業」など。
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●税制優遇制度
「中小企業経営強化税制」や「グリーン投資減税」により、即時償却または特別償却が可能です。 -
●併用のメリット
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補助金と税制優遇を組み合わせることで、初期費用を半分以下に抑えることも可能です。
補助金は年度ごとに募集期間や条件が異なるため、導入前に最新情報を確認することが重要です。
蓄電池の導入事例
製造業


【屋外での使用を想定した電源確保のため、防水対策も可能な「PGJ-7000PRO」を導入】
製造現場では、停電時に照明や表示システムが停止すると、安全確保に支障が出る恐れがあります。
この企業では、水圧昇降機の照明やLEDディスプレイに安定した電力を供給するため、PGJ-7000PROを2台導入しました。
さらに、屋外利用を想定して防水カバーを取り付けることで、簡易的な防水対策も実現しました。
大容量の蓄電システムにより、現場で安心して使用できる電力環境を整えています。
市役所(健康推進課)


【超低温保冷庫の停電対策として、ワクチン接種会場に「可搬式蓄電池」を導入】
健康推進課では、ワクチン保管用ディープフリーザーの停電リスクを防ぐため、PGJ-5200PROを6台導入しました。
停電が発生しても一定温度を維持できるため、ワクチンの品質保持を実現しました。
この取り組みは、災害対策だけでなく、医療体制の信頼性強化にもつながっています。
市役所(危機災害対策課)


【災害時の総合防災対策として、避難所や保育園に「可搬式蓄電池」を導入】
市役所の危機災害対策課では、地域の防災体制を強化するため、指定避難所にPGJ-3000PROを60台、保育園にPGJ-7000PROを16台設置しました。
停電時でも携帯電話やパソコン、冷暖房機器を使用できるようになり、避難者の快適性と情報共有を確保し、自治体全体の防災力が大幅に向上しました。
総合病院


【災害時の停電対策として、ナースステーションに「可搬式蓄電池」を導入】
総合病院では大型発電機を備えていますが、優先的に電力が供給されるのは医療機器であり、ナースステーションの事務機器には届かないことがあります。
さらに、2024年3月から福祉・介護分野でBCP(事業継続計画)の策定が義務化されたこともあり、非常用電源の確保が急務となっています。
この課題を解決するため、PGJ-5200PROを2台導入し、パソコンや携帯電話の稼働を確保しました。
可搬型のため各部署への移動も容易で、停電時には臨時の通信・情報管理拠点としても活用されています。
まとめ

電力コスト対策は、もはや「経費削減」だけを目的とする取り組みではありません。
エネルギーをどう使うかを見直すことは、企業の競争力や事業継続性を高める重要な経営戦略の一つです。
蓄電池を活用したピークカット・ピークシフト、そして太陽光発電との組み合わせにより、長期的なコスト最適化が実現します。
補助金や税制優遇制度を上手に活用すれば、導入ハードルも大幅に下げることができます。
電気料金の高騰が続く今こそ、エネルギーの使い方を見直すチャンスです。
「節約」ではなく「最適化」で、企業の未来を守る一歩を踏み出しましょう。
